本日は、ダブル・アイリッシュ・ウィズ・ア・ダッチ・サンドイッチ(DIDS)について
お話したいと思います。
タイトルのDIDSは、米IT大手企業の税務戦略の名称です。
平成24年7月23日(月)に日経新聞が賞賛的に紹介し、「日本企業は後れを取っており、
日本の税法やその運用が不透明なことがその遅れの背景」と書いていました。
全世界所得に対する実効税率(Apple約24%、Google約21%、Microsoft約18%)が
かなり低いのは、ネバダ州・アイルランド・オランダ・ルクセンブルク・ケイマン
・ヴァージニア諸島といった、タックスヘイブン地域に名目上の拠点を設置し
節税しているからと説明しています。
海外展開を急ぐ経営者や税務の専門家は、「日本では無形資産の対外取引などのルールが
あいまいで・予測可能性が低いので、米国企業に比べ不利」と口をそろえて言うそうです。
「この状況が彼我の競争力にも影響しかねず、税引き後の利益が少ない企業は、
税務マネジメントが巧みな海外企業との投資競争で不利になってしまう」と。
世界でTaxHaven対策税制に最も熱心なのはアメリカなのに、アメリカでは
TaxHavenの利用による租税回避が日本よりも容易なようです。
ニューヨークタイムスは、4月末にAppleを税金回避方法を開発したパイオニアとして描き、
莫大な税金の支払いを逃れていると長文の批判記事を書いて話題になりました。
租税回避志向の企業が、Appleの手法を真似て後に続いていると主張しました。
Appleは直ちに、納税額の絶対額の多さと国内雇用創出への貢献を唱えて、
ニューヨークタイムスに反論しています。
日経新聞の記事はこれを踏まえたものですが、Apple側を支持するスタンスです。
トヨタは、営業利益2兆2704億円と過去最高を記録した直後のリーマン・ショックで、
翌2009年同期に一気に営業赤字に転落した際、社長が記者会見で下記のように語っていました。
「いま税を納めるという最低限のことすらできない状態。本当に悔しい・・・
2年ほど厳しい環境が続くと思うが、1期でも早く利益を出して納税したい」
日経新聞とニューヨークタイムス、AppleとTOYOTA、どちらがまともだと思われますか?