本日は、不動産取得税と固定資産税についてお話したいと思います。
不動産取得税と固定資産税は、共通点も多くありますが、相違点もあります。
そこで、それぞれの税の内容を概観し、その差異について少し触れてみたいと思います。
不動産取得税は、その課税客体は土地や家屋の不動産で、その取得に対して課税されます。
この取得とは、所有権の取得を意味します。
取得の形態ですが、売買のような有償取得もあれば、贈与のような無償取得、
さらには、建築といった原始取得・交換等があります。
しかし、取得の原因が相続等や法人の合併及び一定の会社分割による場合は、非課税です。
また、新築の分譲マンション業者や新築の一戸建住宅業者等が原始取得等するものについては、
その家屋の新築後6ヶ月を経過する日までに他に所有権が移転されていれば課税されません。
一方、固定資産税は、その課税客体は土地・家屋及び償却資産で、
その年の1月1日(賦課期日)の所有者または一定の場合の使用者に対して課税されます。
また、固定資産税においても公共性・公益の強い固定資産については非課税となっています。
両者の本質的な違い(登記との関係)は、以下の通りです。
不動産取得税は、所有権の取得という事実に基づいて課税します。
したがって、登記の有無にかかわらず実質の取得者に対して課税します。
単に売買の名義貸しで登記簿上の所有者になったとしても、不動産取得税は課税されません。
この実質主義は、時には不都合な状態を招来させます。
所有権の移転登記がなされなければ取得の状況が把握できず、
実質取得者に対する課税は容易ではありません。
例えば、二重譲渡の危険性もなく・抵当権の設定の必要もないといった場合などは、
なかなか移転登記がなされません。
一方、固定資産税ですが、土地、家屋の登記名義人が真実の所有者であるか否かを問わず、
原則、その年の1月1日(賦課日)における登記簿上の名義人に課税することになっています。
これは、大量かつ画一的な処理の要請からです。
この形式主義も不動産取得税と同様、時には不都合な状態を招来させます。
不動産取得税の裏返しです。
所有権を手放しても移転登記がなされなければ、いつまでたっても固定資産税の納税通知書は
登記簿上の名義人に送付されてきます。