本日は、広大地の評価についてお話したいと思います。
相続における土地評価で、広大地というのがあります。
広大地とは、その地域における標準的な宅地に比して著しく地積が広大な宅地で、
開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担(いわゆる「潰れ地」)が
必要と認められるものをいいます。
ここでいう「著しく地積が広大」とは、都市計画法に基づく開発許可を要する面積
(三大都市圏で500㎡・その他1,000㎡)以上のものをいいます。
この広大地を相続税法で評価する場合、下記のような非常に大きな減額率が考慮されます。
広大地補正率 = 0.6 - (0.05×広大地の面積/1,000㎡)
例えば、700㎡の土地ならば0.565となり、
イメージとしては約半分の価額で評価できるということになります。
このような土地の買手として想定されるのは、まず宅地開発業者です。
彼らは、最も需要がある住宅など標準的な地積(例えば100㎡)に区画整理し、
戸建分譲する形を取ります。
そうなると、都市計画法では道路や公園の設置が求められ、
土地全体をそのまま利用できずに、いわゆる「潰れ地」が生じます。
これを評価に反映させるという訳です。
また、需要の面からみても、このような広い土地を購入する者は
そうそういる訳ではありません。
「需要がなければ価格が下がる」のが、市場原理。
実際の価格も、これくらい広い土地の坪単価はかなり安くなります。
このような実態を不動産鑑定士が行なう「面大地」の発想を取り入れ、
簡便計算できるように改正したのが、平成16年のことでした。
しかし、事をややこしくしているのは、大規模工業用地やマンション適地は
いわゆる「潰れ地」がないため、広大地から除くとしている点です。
減額率の算式自体は、これ以上ない程簡単ですので、
そもそも広大地に該当するか否かの入口で争われることになります。
税務当局が「潰れ地」がないと強弁することも多々見受けられます。
そのため、反論を想定した綿密な理論武装が求められることになります。