本日は、手形取引の今後についてお話したいと思います。
「手形取引が減ってきている」とよく耳にします。
全国銀行協会公表の「全国手形交換高」は、平成24年中の実績で
金額369兆円・枚数7,745万枚に上ります。
数値自体は大きなものですが、過去の最高値は金額4,797兆円(平成2年中)
・枚数4億3,486万枚(昭和54年中)であることを考えると、
金額はピーク時の7.6%・枚数は18%まで激減していることになります。
この「手形交換高」は、景気連動性が高い指標とされていましたが、
ファームバンキングの普及の影響からその連動性は薄れ、年々減少の一途を辿っています。
それでも、帝国データバンクの調査では、取引先との決済に手形を利用している企業は
全体の44.5%に上るそうです。
ただし、数字の中身を見てみると、一様なものではありません。
まず、地域別の手形利用率は、下記のように顕著な格差が見えます。
<上位3都道府県>
①富山県 63.4% ②香川県 59.1% ③新潟県 58.6%
<下位3都道府県>
①沖縄県 31.5% ②東京都 33.5% ③千葉県 34.7%
また、以下のような結果も出ています。
①業歴50年以上では6割超の企業が手形を利用する一方で、
業歴10年未満の企業は1割台しか利用しない。
②売上規模別でも「10~500億円」の中堅・大手企業の利用率が6割近くになるのに対し、
売上1億円未満の企業は25.7%にとどまっている。
さらに、手形の利用は特定の業種(製造・卸・建設)に固定化してきています。
このようなタイミングで、「でんさいネット」がスタートから約半年が経過しました。
「ペーパレス・印紙税がかからない・分割可能」と、債権者・債務者双方にとって
コスト・業務効率・安全性の面でメリットを発揮するものと期待されています。
まず、ファクタリング・流動化の分野での活用が見込まれますが、
これまで手形を利用していた企業が、今後電子債権にシフトするならば、
その取引相手である中小零細企業にも対応が求められることも増えるでしょう。