本日は、高年齢者雇用安定法についてお話したいと思います。
平成25年4月に施行された高年齢者雇用安定法の改正では、希望する社員は全員、
65歳までの継続雇用をすることが義務付けられました。
各々の企業が雇用延長に伴いどのような賃金対策をしてゆくのか、
少しずつ様子が見えてきました。
高年齢者の賃金を引き上げるとするNTTグループでは、再雇用する60歳以上の社員の年収を
引き上げるとしていますが、その分は現役世代の基準内賃金を圧縮するとしています。
山崎パンでは、現役世代とほぼ同じ働き方を求める代わりに収入を増やし、
現役世代の賃金を削減して原資とするとしています。
YKKグループは、再雇用制度を見直し、定年延長に切り替える代わりに、賃金体系を
年金給付開始年齢に合わせ整備し、人件費の抑制・人事評価を適性化するとしています。
賃金制度の見直しは、賃金カーブを緩やかに変更します。
この方法は、中堅社員の賃金の上昇を抑えることになりますので、
処遇が不利になる層からは反発も予想されます。
他には、仕事のポストで賃金が決まる職務給制度に移行する企業も増えています。
職務給は、仕事内容の難しさや責任の大きさによって決まり、
年数による賃金変動はなく、世代間の競争が促しやすくなります。
高年齢者雇用安定法では、雇用延長の方法として「ア:再雇用」「イ:定年延長」
「ウ:定年廃止」のどれかを選択しなければなりません。
しかし、再雇用で有期雇用契約を結び、1年ごとに更新する企業が多いのが現状です。
再雇用時に大幅に賃金が減額されて、現役時代と同じ働きを求められても、
高年齢者の意欲をそぐことも考えられます。
だからと言って、原資のやりくりも考慮しなければなりません。
賃金改定は一様にするのではなく、今までの働きぶりと
今後の期待も込めた額にすることが必要ではないでしょうか?
例えば、「①今後も活躍してほしい社員」「②普通にやって欲しい社員」
「③今一つの働きぶりだと思える社員」に分け、一律の率での賃金減額や
年金・高年齢雇用継続給付の適用を行うのではなく、必要な人材には適切な賃金を出し、
「③の社員」の場合は会社の意向をさりげなく示す等も考えられます。
ただし、賃金を下げる時には本人に説明をした上で行うことが必要になるでしょう。