タックスヘブン

本日は、タックスヘブン定義の不正義についてお話したいと思います。

タックスヘブンとは、日本の税法では所得に係る租税の実効税率がゼロ
もしくは20%以下の国や地域を指します。

・ゼロ(ケイマン・ガーンジー・ジャージー・バーレーン・バハマ・マン島)

・20%以下(アジア地域としては、マカオ12%・香港16.5%・シンガポール17%・台湾17%・
 カンボジア20%・カザフスタン20%)

しかし、アメリカのデラウェア州に代表されるような諸州は、タックスヘブンそのもの
といえるような法人制度になっているので、アメリカ合衆国が世界最大のタックスヘブン
と唱える人もいます。

かつてオバマ大統領が「ケイマンのユグランドハウスには、1万2千の企業が入居しており、
これは史上最大の建物か、さもなければ史上最大の税金詐欺だ」と批判したことがあります。

それに対して、ケイマンの金融庁長官が「オバマはデラウェアに関心を向けた方がよい。
ウィルミントン1209番地のオフィスには、21万7千の企業が入っている」と反論していました。

もちろん、イギリスのロンドン・シティは世界のタックスヘブンの総本山であり、
アメリカタックスヘブンの教師で、LIBOR不正操作・マネーロンダリング・
脱税資金の隠匿の諸事件の巣窟です。

オランダはかつてタックスヘブンとされましたが、その手法に一層磨きをかけている
にも関わらず、今はリストから外れています。

オランダは、表面税率25.5%で全世界所得課税をする建前ながら、
多国籍業の全世界の外国子会社の所得を無税でオランダに持ち込み、
これをゼロ税率タックスヘブンの子会社に無税で異動させる
精緻な導管措置を用意している、タックスヘブン共犯国です。

スイスは、連邦税7.8%・地方税のカントン税13.37%の計21.17%と表示されているので
タックスヘブンとされていません。

しかし実際は、多くのカントンが外資誘致の免税措置を採用しているので、
連邦税のみの負担になっています。

タックスヘブンの定義の実際に、正義を見るのは疑問です。

しかし、形式的に判定されたタックスヘブンの国や地域に所在する親法人の場合は、
コーポレート・インバージョンを税制適格で実行することは限りなく困難です。