本日は、人事考課と賃金改定についてお話したいと思います。
人事考課の結果を活用する最も代表的な目的は賃金の改定ですが、その方法は
賃金体系と考課結果の表わし方(A・B・Cなどの標語)によって決められます。
最近の先進的・代表的な例を挙げますと次の通りです。
1.「役割・貢献給」の範囲給・賃金体系をとっている場合は、それぞれのグレードの社員が
果たすべき役割・貢献の定義に照らした業績考課点の高さ(実力)を毎年評価して、
範囲給のどこに位置付けるかを決定する。
すなわち、毎年の業績・実力に応じて翌年のグレードと賃金の高さを決める。
(「洗い替え方式」という)
2.従来から行われてきた方式で、人事考課点を正規分布に当てはめて
下表のように定め、この標語に応じて昇給額または昇給率に差をつける。
分布 上位5% 15% 60% 15% 下位5%
標語 S A B C D
このように賃金改定を行なう場合にも、経営者の賃金ポリシーによって、
賃金体系(役割貢献給・職能給・職務給など)や評価、賃金適用方法(実力主義・年功主義
・積み上げ主義・実績に基づく洗い替え主義)などが決定され・運用されます。
賃金改定方式は、一度決めると長く習慣的に適用される傾向があります。
例えば、年功・積み上げ主義なら、社員は「年齢が高くなれば賃金は上がるものだ」と思い、
役割・貢献給・実績洗い替え主義なら、社員は「油断していると昇給がないばかりか、
マイナス昇給にもなりかねない」と考えます。
つまり、賃金改定の方法・基準と運用実態は、「社員にどのような働き方を期待するのか」
メッセージを送り続け、知らず知らずのうちに企業文化に影響を与えます。