本日は、公益法人等への財産の現物寄附についてお話したいと思います。
以前、大河ドラマ「軍師官兵衛」の前半の舞台となっている姫路城。
平成の大修理中でしたが、漆喰を忠実に再現した結果、
「白過ぎる」との声もあるようです。
この姫路城は、現存12天守のうちの1つです。
現存12天守とは、江戸時代以前に建設され、現在まで保存されている日本の天守のことです。
国宝である「国宝4城」(姫路・松本・犬山・彦根)と重要文化財である「重文8城」
(弘前・丸岡・松江・備中松山・丸亀・松山・宇和島・高知)があります。
このうち犬山城は、平成16年まで個人所有であることでも知られていました。
この城は、元和3年 (1617年)以来、尾張藩付家老であった成瀬家の居城でした。
明治の廃城令で一旦接収されましたが、濃尾大地震の被災で手が回らなくなった県が、
天守の修復を条件に、成瀬家に無償譲渡し、以後同家の個人所有となっていました。
ただ、城の維持費用や数代にわたる相続税の負担も重く、文化的資料の散逸の恐れもあり、
平成16年に成瀬家は天守と土地・古文書等を財団法人に移すことを決断しました。
ここで気になるのは、やはり税金です。
現行法では、一般に個人が土地・建物等の資産を法人に寄附した場合には、
時価で譲渡をしたものとみなされ、譲渡益に対して所得税が課されます。
ただし、これらの資産を公益法人等に寄附した場合で、その寄附が教育・科学の振興、
文化の向上その他公益の増進に著しく寄与することなど、一定の要件を充たすものとして
国税庁長官の承認を受けた時は、その譲渡益は非課税とする制度が設けられています。
一方、財産を受ける公益法人等側は、法人税法上、
収益事業以外の事業に係る収益(受贈益)には課税されません。
ただし、公益法人等(持分の定めのない法人に限ります)に対して財産の寄附があった場合、
寄附を行った人の親族その他特別関係者の相続税や贈与税の負担が不当に減少する結果となる
と認められる時は、その公益法人等を個人とみなして、相続税または贈与税が課せられます。
つまり、税額の不当減少がある場合のみ課税されます。