本日は、目標管理の誤解についてお話したいと思います。
労務行政研究所によれば、現在、日本における目標管理制度の普及率は約8割となっており、
企業一般で大いに活用されている制度です。
しかし、制度がカバーする範囲が広く、かつ深いことから、企業別の活用目的・運用方法等に
さまざまな問題が残されていることも事実で、今後も改善を図って行かなければならない
とされています。
昭和40年代以降、日本の企業が経験してきた目標管理制度への代表的な誤解と失敗は、
以下のようなものが挙げられます。
①売上極大化が目的と考える「売上至上主義」への偏重
②自主性の過大評価(目標達成プロセスへの組織的関与の不足等の失敗)
③成果重視・金銭的インセンティブ偏重(人間性尊重の欠落) など
その他、制度の目的に関する本質的かつ一般的な誤解として、上記の①~③の誤解とも
結びついている「目標管理制度の目的を人事評価の手段と考える誤解」が存在し続けています。
目標管理制度の本質的目的は、業績管理のマネジメント手段として捉えるのが適切です。
そこには、社員の意欲重視・成果とそれを実現するプロセス重視・成果の的確な評価と
公正な処遇・配置の実現・人材育成などを、制度面・運用面でバランス良く実現する
方向性が保証されます。
しかし、「人事評価の手段」と考えた場合には、次のような問題が起きてしまいます。
①人事評価を的確に行ない・処遇に反映すれば、社員は意欲を高め、その結果として
業績は向上すると考え、人事評価手段としての制度・評価基準の整備・運用を偏重する。
②業績管理の目的意識が希薄になり、成果を生み出す目標設定とプロセスマネジメントが
軽視される結果、成果に結びつきにくくなり、目標管理制度の経営貢献度が低下する。
トップは、自社の目標管理制度の活用実態、特に業績管理のマネジメント手段として
的確に機能しているか否かを視点として、制度の仕組みと運用面をチェック・補強して、
制度の経営貢献度を高めるべきです。