マイナンバー法

国民全員に番号を割り振るマイナンバー法が、平成25年5月24日に参院本会議で
可決・成立しました。

同法は、個人番号・法人番号を活用した効率的な情報の管理・利用及び
迅速な情報の授受・手続きの簡素化による国民の負担軽減などが目的です。

同法の施行に伴う関係法律の関連整備等法も同日成立し、これにより年金などの社会保障給付や
納税を一つの個人番号で管理する制度が、2016年1月からいよいよ始まります。

法律は成立してしまったので、施行までの期間で危惧される問題点が少しでも解消されるよう、
国民的議論が広がり、法整備もなされなければなりません。

機関紙「東京税理士界」にこのテーマで会員から論文の寄稿があったので、
それからの転載を以下に記します。

①消費税増税に伴う逆進性による低所得者対策として、「給付付き税額控除」を行なうために
 必須の制度ということが導入の理由であったが、現与党は「給付付き税額控除」の採用を
 拒否している。

②情報の流出が避けられないとすれば、役所・企業・銀行・病院などからの
 個人データ流失・プライバシー侵害も不可避である。

③他人番号を利用した「なりすまし」犯罪が起きる。
 
 アメリカでのこの手の犯罪は頻発しており、最近の3年間の被害者1170万人、
 被害額5兆円である。

④番号制度の利用制限・個人情報へのアクセス権を確保するとしているものの、基準が不明確。

⑤特定個人情報保護委員会の設置・罰則の設定をするものの、
 それで個人情報保護が機能するのか不明。

⑥施行3年後には、個人番号の利用範囲の拡大を予定しており、
 民間にまで広く利用される可能性があり、益々個人情報の保護が難しくなる懸念がある。

⑦有用性と問題点を比較した場合、現状では国や行政機関側の事務作業の簡便化と
 情報管理の効率化には寄与するが、国民にとっては損害等の可能性を考慮すれば、
 番号制度によって得られる利便性は少ない。

⑧納税者権利憲章とのセットでの法案提案であったのに、
 納税者権利保護法案は無視されている。