使い切れなかった教育資金

本日は、使い切れなかった教育資金への課税についてお話したいと思います。

一括贈与の教育資金口座は、以下の時に終了となります。

①受贈者が30歳に達した

②口座等の残高がゼロになり、教育資金口座契約を終了させる合意をした

③受贈者が死亡した

口座終了時に、非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外に支払う金銭については、
500万円限度)を控除する計算をし、残高が計算される場合には、上記③の場合を除き、
その口座終了の時にその残高が贈与者から贈与されたものとされます。

したがって、暦年課税対象者で、その残高が110万円超の時は、
その年の贈与税の申告期限までに申告を行なう必要があります。

今年の税制改正で、贈与税の税率構造は相続税の税率構造の変更に合わせて、
最高税率が50%だったところ55%となり、新たに45%税率部分が新設され、
全6段階税率が8段階税率になりました。

その上で、20歳以上の者が直系尊属から暦年課税の贈与を受けた場合の贈与税について、
別種の軽課税率表が用意されることになりました。

軽課の内容は、贈与額の累進に応じて、そのカーブを66%~75%緩和させるものです。

教育資金未使用残額については、30歳到達日または教育資金口座契約終了合意日の属する年の
贈与税の課税価格に算入すると法律で定めています。

実際に贈与があったのはこの日より何年も前なのですから、この法律の規定は
「みなし」規定で、事実と異なる日に贈与があったものとするものです。

それならば、贈与者は直系尊属なので、改正税法の軽課規定が適用になりそうです。

政令では、贈与者が生存していれば改正税法の軽課規定が適用になるが、
既に死亡の時は直系尊属以外の単なる「個人」からの贈与とみなすとしています。

法律では贈与の事実を後ろ倒しにする仮装の設定にしているのであるから、
贈与者が既に死亡していても、その贈与者が贈与したものと解釈して不都合がありません。

法律では、贈与者個人を別な人格に置き換える規定を置いていないのに、
政令で勝手に解釈して、法律と異なる規定を置くのは租税法律主義違反です。

疑問ありです。