本日は、相続税の調査事績分析についてお話したいと思います。
税務署は、7月1日付けの辞令で人事異動です。
すなわち、税務署の年度末は6月で、行政事績は7月~6月を集計期間としています。
これを事務年度と言っています。
平成24年11月13日の国税庁のネットでの公表によると、直近事務年度において行われた
相続税の調査件数は1万3787件(前事務年度比0.9%増)でした。
そのうちの80.9%に当たる1万1159件(同1.0%減)から3993億円(同0.0%)の
申告漏れ課税価格を把握し、加算税を含め757億円(同5.1%減)を追徴しました。
実地調査1件当たり、申告漏れ額は2896万円・追徴税額は549万円でした。
無申告件数が前年度比17%増えています。
調査件数のうち10%が無申告を対象にしたもので、非違件数のうち8%余が無申告です。
課税価格の非違額に占める無申告の割合は30%と大きいものの、
追徴税額としては11%を占めているだけです。
相続税の小規模宅地の特例の適用制限が大きくなったことにより、
従来なら無申告でも放置されてしまうのに、納税額の生ずるケースに変転している
という事案が無申告には多いように思われます。
全調査件数のうちの5%が海外資産調査ですが、
そのうちの77%に非違事項が指摘されています。
しかし、海外資産の申告漏れを内容とする非違件数は、海外資産調査件数の15%に過ぎません。
海外資産調査での海外資産の摘発実績はほんのわずかです。
効果のあがる調査になっていないように推測されます。
なお、1件あたり申告漏れ海外資産は6478万円で、全体平均2896万円に比し
相対的に大きく、大口案件が多いことが伺われます。
申告漏れ相続財産の金額の構成比は、以下の通りです。
「現金・預貯金」36.2%(金額1426億円)
「有価証券」(16.0%、631億円)
「土地」(16.0%、630億円) など
贈与税についても書かれています。
贈与税の調査件数の94%において非違事項が発見され、そのうちの86.1%は無申告事案でした。
贈与税調査のほとんどは、無申告事案の発見のために行われていると言えます。