本日は、保険料は全額非課税かについてお話したいと思います。
ライフネット生命が保険料と保険代理店の代理店手数料を公表し、
保険業界に波紋が広がっております。
従来、保険業界では保険料と代理店手数料を公表することはなく、
すべてを「保険料」としてきました。
しかし、中立で適切な保険を勧めていることを売りにしてきた乗合代理店
(複数の保険会社の代理店をしている比較的大手の代理店)が、手数料の多寡により
勧める保険を判断しているのではないかという疑念は以前よりありました。
ライフネット生命は代理店手数料が他社より安いため、
乗合代理店が積極的に取り扱わない現状に業を煮やしての公表でした。
保険料は、万が一の時に保険金を支払うという役務の提供を受けるための
金銭の支払なので、基本的に「課税取引」となります。
ただ、限定列挙で非課税とすると規定されているため、「非課税取引」とされています。
しかし、保険料の中身は保険金の支払い等に充てる保険料と
保険代理店の代理店手数料とで構成されています。
保険代理店の代理店手数料は、「課税取引」です。
しかし、現状の多くの保険会社は、保険料と代理店手数料を区分することなく、
一括して保険料として契約しています。
そのため、「課税取引」を区分して特定できないということで、
支払保険料のすべてが「非課税取引」として処理されております。
そこで従来から問題となっていたのは、代理店手数料を含む保険料は、
全額「非課税取引」とされ、「課税仕入」として預かり消費税から控除できない。
にもかかわらず、保険代理店の売上は「課税売上」として消費税を課税している現状は、
消費税の2重取りではないのかという指摘でした。
今後、業界として代理店手数料を明らかにするようになると、従来控除できなかった
代理店手数料に係る消費税は、控除できるようになってくると思います。
一方、代理店手数料の金額が公表されることにより、同じ保険でも代理店により保険料が異なる等、
保険業界の価格競争に混乱が生じるなど、新たな問題が出てくるかもしれません。