相続時精算課税のリスクとデメリット

本日は、相続時精算課税のリスクとデメリットについてお話したいと思います。

相続時精算課税は、何十年も後になってから選択の結果が出る制度であり、
その間に何が起きるかわかりません。

相続時精算課税制度の適用選択には、どんなリスク・デメリットがあるのか、
十分に検討する必要があります。

■相続時精算課税のリスク

①相続時精算課税の贈与財産が無価値化になっても、相続税額が発生します。

②今回の「基礎控除引き下げ」などのような相続税制の変更に伴い、
 制度選択が致命的になっても、リカバリー困難です。

③受贈者が特定贈与者より先に死亡すると二重課税になる恐れがあり、
 受贈者が独身・1人っ子で先に死亡する場合には、三重課税になりかねません。

④相続時精算課税は、一度選択するとその特定贈与者からの贈与については
 暦年贈与の選択が一切できず、撤回も不可です。

⑤贈与税の申告内容開示制度により、相続時に他の相続人等からの請求で
 精算課税贈与額(3年内暦年贈与財産も同じ)が開示されることになっています。

■相続時精算課税のデメリット

①相続開始前3年以内の贈与加算される財産は、その贈与財産により取得した財産も
 物納対象となります。

 しかし、相続時精算課税制度による生前の受贈財産は、相続時に物納できません。

②相続税の特例として、相続財産に対する小規模宅地等の減額特例がありますが、
 暦年課税・相続時精算課税により贈与した財産については、同特例は適用できません。

 小規模宅地等の減額の特例は、非常に効果が大きいものです。

 宅地等を贈与財産とする時には、この検討は重要事項です。

③暦年課税・相続時精算課税により贈与を受けた財産が土地の場合には、
 登録免許税の税率は、贈与時の不動産価額に対する税率の1.5%となります。

 相続であれば、相続時の不動産価額に対する0.4%となります。

④暦年課税・相続時精算課税により贈与を受けた財産が土地の場合には、
 不動産取得税の税率は、贈与時の3%となり、さらに宅地の時は課税標準が1/2になります。

 相続であれば、非課税となります。