本日は、 労働者派遣制度の改革案についてお話したいと思います。
労働者派遣法の見直しを議論していた厚労省の研究会は、
派遣労働者が仕事を続ける選択肢を増やす改革案を決定しました。
この先、労働政策審議会で設計し、今年の通常国会に法案提出を予定しています。
改正案は、以下の通りです。
今回の見直しでは、まず派遣期間に上限のない「専門26業務」区分を撤廃します。
現在は通訳や秘書の他、ファイリングや取引文書の作成等が指定されています。
しかし、26業務に該当するかどうかがわかりにくいという面があり、
2010年には当時の民主党の政策で専門26業務の適正化を認める範囲が厳しくなったため、
派遣で働く人は1年間で90万人から75万人に減少しました。
今度の改正案ではわかりやすく、26業務と言う概念は廃止されます。
派遣期間の上限は、人材派遣会社との雇用契約によって差をつける制度とします。
現行法の「専門26業務」だけは、派遣期間に限りがありません。
今後は派遣会社と無期雇用契約を結べば、仕事内容に関わらず、
いつまでも同じ派遣先企業で働けるようになります。
派遣会社と有期雇用契約を結んでいた人は、最長3年働いた時点で他の労働者と交代します。
この時点で派遣会社は、以下のいずれかの措置を行うことになります。
ア、派遣先に長期雇用の申し入れをする
イ、新たな派遣先を提供する
ウ、派遣会社で無期雇用に転換する
派遣期間の上限は、これまでは「業務ごと」に3年とされてきました。
しかし、これを「人ごと」に3年とすることで、働く人を交代させれば、
同じ職場でずっと派遣労働者を受け入れられるようになります。
企業にとって、人は変わっても長期に派遣社員を置けるので、
メリットは大きいとする意見があります。
一方で、「正社員の仕事が派遣社員に取って変わってしまうかもしれない」という
反対意見もあります。
法案では、交代時期に派遣先の労使が派遣継続について、協議して決めることになりそうです。
政府の方針は、派遣を制限し、正規雇用を増やすと言うことに変わりはありません。
企業は、役割や責任に応じて、正社員との均衡を配慮する必要はあるでしょう。