本日は、労災保険の特別加入制度についてお話したいと思います。
労災保険は本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行なう制度です。
しかし、労働者以外の方のうち、その業務の実情・災害の発生状況から見て、
特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方については、
労災保険に任意加入することができ、これを特別加入制度と言います。
特別加入できるのは、中小企業を経営する「中小企業事業主」、個人タクシーなど
労働者を使用せず事業を行う、いわゆる「一人親方」、海外に出向させる「海外派遣従事者」、
特定作業従事者（農業従事者等）です。
中小企業事業主が特別加入するには、次の条件が必要です。（人数規模は企業単位）
①常用労働者数が次の範囲の事業主
ア、労働者数50人以下・・・金融業、保険業、不動産業、小売業
イ、労働者数100人以下・・・卸売業、サービス業
ウ、労働者300人以下・・・上記以外の業種
②労働者以外で、事業に従事する事業主の家族・法人役員等
また、継続して労働者を使用していなくても、1年に100日以上使用している場合は
常用労働者を使用していることとします。
労働者を使用しないで、次の①～⑦の事業を行うことを常態とする方が対象です。
①自動車を使用する旅客・貨物運送の事業
②建設の事業（大工等の他、大震災後除染）
③漁船で水産動植物を採捕する自営漁業者
④林業の事業
⑤医薬品配置販売（薬事法30条許可者）
⑥再生資源の収集・運搬・選別・解体作業
⑦船員法適用の船舶に乗り込んでいる場合
特別加入するには、事務を取り扱う労働保険事務組合を通じて加入することになります。
保険給付は一般の労災保険と同様の給付が受けられますが、保険料の支払いは
給付基礎日額を選択し、所定の保険料率を乗じて保険料額が決まります。
給付基礎日額は、今までは3,500円・4000円以下・1000円から2000円刻みで設定され、
2万円が上限でした。
しかし、選択の幅が広がり、平成25年9月から22000円・24000円・25000円が
新たに選択できるようになりました。