本日は、富裕層課税の税制改正についてお話したいと思います。
「ウィキペディア」が紹介するところの一つクレディ・スイスの調査よると、
純資産100万ドル以上を持つ富裕層数のランキングは、以下の通りです。
1位はアメリカ(約1100万人)、2位に日本(約360万人)、3位にフランス(約230万人)、
4位にイギリス(約160万人)となっています。
一方、純資産5000万ドル以上を持つ超富裕層数は、アメリカ(約3万8000人)が
他国を圧倒的に引き離しており、以下は中国(約4700人)、ドイツ(約4000人)、
日本(約3400人)です。
富裕層課税の強化は、世界のトレンドです。
今年の税制改正案では、稼得・移転・保有・消費の各段階に対する課税制度の中では、
富裕層課税の強化は資産の「保有」に対する課税。
物やサービスの「消費」に対する課税のところには出てきていません。
消費税などは、逆に軽減税率の導入の方に焦点が当たっています。
「稼得」に対する課税としての所得税、「移転」に対する課税としての相続税・贈与税の
ところでは、その最高税率のアップとして富裕層課税の強化策が現れています。
ただし、富裕層課税の強化とは言われていませんが、
今年の税制改正案の下記のセットは、実質的に富裕層課税への強化策です。
・上場株式の配当や譲渡益への地方税込み10%課税の廃止
・20%原則課税への復帰
・100万円までの少額投資非課税制度導入
また、公社債の譲渡による所得は非課税とされていましたが、これを課税に変更するという
今年の税制改正案も、ターゲットは富裕層課税の強化です。
財産の海外フライトは富裕層特有の現象なので、これへの対策措置も
当然に富裕層課税強化につながります。
平成25年の年末の海外保有財産から申告が開始する国外財産調書制度は、
昨年の税制改正で制度化されたものです。
しかし、今年の税制改正案では、平成25年4月以降、子や孫を海外移住させて意図的に
国籍離脱させることによって、贈与税・相続税が回避できた手法に封じ手を打っています。
被相続人・贈与者が国内在住者であれば、相続人・受贈者が外国籍の海外居住者でも
課税対象に取り込まれるようになります。