本日は、移転価格税制についてお話したいと思います。
移転価格税制とは、 国内の利益を海外に移転させることを防止する目的で作られた法律です。
国内企業が、国外にある関連企業(以下「海外子会社等」という)と取引する場合、
海外子会社等に有利な取引を行ってはいけませんという法律です。
ではどうするのかというと、資本関係等のない第3者間での取引と
同じ価格で取引をしなさいということです。
これを「独立企業間価格」と言います。
商品や製品のやり取りだけなら簡単な話ですが、
これには役務の提供や無形資産の利用料等も含まれます。
中小企業が海外で子会社を立ち上げ、軌道に乗せることはかなり大変です。
そのため、多くの企業では、社員を長期間海外子会社へ派遣し、
軌道に乗るまでは給料はすべて本社で負担している場合や、
第3者には利用させない特許を、子会社だからということで無償で使用させている場合等が
多々見受けられます。
これらも原則的には、海外子会社等への利益の移転となります。
「軌道に乗るまでは」として支援している場合、「軌道に乗った」あるいは「利益が出た」からといって、
急に本社からの派遣社員の給料や特許使用料を徴収しようとすると、
今度はなぜ今までしてこなかったのかが問題となります。(税務上遡って課税されるのではという懸念)
こういった場合、往々にしてそのままずるずると本社負担が続く場合もあります。
要は、子会社とはいえ別会社です。
なので、「軌道に乗る・乗らない」あるいは「利益が出る・出ない」の基準は、
独立した一個の企業として必要なコストを負担しての話です。
そこを曖昧にしての海外進出は、かえって危険です。