本日は、著作権の譲渡についてお話したいと思います。
コンピューターのアプリケーションソフトやシステムソフトの開発にあたって
しばしば問題となるのは、その著作権です。
著作権は、本来その製作者に帰属します。
下請けや外注として依頼され、ソフトの開発をしたとしても、
著作権は、依頼を受け製作した下請け企業や個人に帰属します。
トータルのシステムを企画・開発・立案したとしても、個々のソフトを外注や下請けに
依頼した場合、個々のソフトの著作権は、依頼を受けた外注先や下請け先に帰属します。
著作権は、登録等を要しません。
これを無方式主義(国際的な方式です)といいます。
要は、何もしなくても製作者に著作権の権利は発生するというものです。
そこで、後になって著作権を主張されて、トラブルになることを防ぐため、
ソフト開発の外注や下請けとの契約には、必ず著作権の譲渡が謳われております。
著作権の使用料には、10%~20%の源泉所得税が課されますが、
著作権の譲渡となると、国内での取引では源泉所得税の対象とはなりません。
しかし最近では、人件費の安い中国やインド等に
ソフトの製作を外注するケースが増えております。
海外の外注先や下請け先との取引での著作権の譲渡となると、
今度は20%の源泉所得税が課されます。
しかし、多くの現場担当者は、国内取引で源泉所得税を意識したことがないため、
海外にソフト開発を依頼する際に税金の問題はまったく頭にありません。
なので、税理士に相談することさえ思い浮かびません。
税務調査で指摘された場合、契約書や請求書で「役務の提供に対する対価」と
「著作権の譲渡の対価」がまったく区別されていないと、製作物の引き渡し自体が
著作権の譲渡とみなされ、外注費全体の20%の源泉所得税額を追徴されることもあります。
そうならないためには、あらかじめ契約書で著作権の譲渡対価を決めておくか、
請求段階で著作権の譲渡代金を区分して請求してもらう必要があります。