申告納税制度

本日は、申告納税制度についてお話したいと思います。

申告納税制度は、個人財産10万円超に対して25%~90%の累進税を課した
1回限りの財産税(昭和21年11月)においてまず採用されました。

そして、昭和22年以降、所得税・法人税及び相続税などの直接税において、本格的に採用されました。

所得税の申告納税制度の導入時のものは、当年の所得の見積りにより
課税所得を計算する予算申告納税でした。

予算申告納税制度の仕組みは、毎年4月に納税者自らがその年の所得を予算して申告するとともに、
その予定税額の1/4ずつを4月・7月・10月及び翌年1月に納税した上で、
1月に所得と税額の確定計算をして、税額の過不足精算をするというものでした。

年の中途で所得の見積額に増減があった時は、
次の申告期で修正申告し、予定納税不足額の精算をします。

申告納税制度が導入された昭和22年は、インフレ率がその後数年にわたり、
月利で8~10%と昂進する時期でした。

1年後に税金を徴収したのでは、所得を得た時の貨幣価値の1/2・1/3という
実質価値しか得られないということだったので、当時の申告納税は
事前納付を意味する「予算申告納税」でなければなりませんでした。

当時の日本経済は疲弊のどん底にあり、所得税85%・住民税18%の最高税率(合計限度93%)と
極端に重く、昭和23年の時は個人所得税の約70%に及ぶ納税者が申告怠慢したとして、
政府の更正決定を受け、おびただしい異議申立てが行われ、税金の滞納も慢性化していました。

その上、申告書の有料閲覧と第三者通報制度(追徴税額の10%以内の報賞金)もありました。

また、税務職員も昭和21年に2万7千人であったのが、失業救済も兼ねて
昭和23年には7万4千人と5万人弱も増加しました。

そのため、職員も不慣れで、新制度の実施については、
最悪の環境で納税者の税務官庁に対する信頼感は最低でした。

所得税以外もインフレシフトし、法人税には6ケ月を1事業年度とするみなし事業年度があり、
相続税は相続開始後4月以内が申告納付期限、贈与税は贈与年の翌年1月31日が申告納付期限でした。