海外赴任(出向)時の給料計算の留意点

本日は、海外赴任(出向)時の給料計算の留意点について
お話したいと思います。

年の中途で勤務先から1年を超える海外子会社等の出向・赴任を命じられた場合、
赴任者については、年初から出国までの期間について、年末調整が必要となります。

このような場合、赴任者は出国した日の翌日から非居住者となることから、
出国した月の給与計算は、原則、給与の額を勤務した日数により
居住者分と非居住者分とに按分することになります。

しかし実務上の簡便から、次の4つの要件をすべて満たせば、出国した月の給与については、
当該給与を国内源泉所得に該当しないものとして取り扱っても差し支えないとしています。

(1)計算期間の中途で出国し、居住者から非居住者になること

(2)出国後、非居住者になってから支給されること

(3)給与の計算期間が1ヶ月以下であること

(4)当該1ヶ月分の給与のすべてが国内勤務に対応するものでないこと

これを具体的に事例で見てみましょう。

10月分の給料は、その計算期間は前月9月21日から翌月10月20日・支払日は10月25日。

そして、出国は10月19日とします。給料の支払いは国内です。

この事例が4要件のすべてを満たしているかどうか検証してみます。

まず(1)の要件ですが、出国は19日とあることから翌20日には非居住者となり、
給与計算期間中20日の1日だけですが非居住者であることから、(1)の要件は満たします。

次に(2)・(3)の要件ですが、検証するまでもなくクリアしています。

最後の(4)の要件です。

20日に非居者となっていますから、1日分の給与について国外勤務があることになり、
したがって、(4)の要件も満たしています。

以上、事例は4要件のすべて満たしています。

結果、当該10月分の給料は国外源泉所得となり、源泉徴収は要せず、
かつ、出国時までにする年末調整の対象からも除外することができます。

仮に出国が10月20日であったとすれば、翌21日から非居住者ということになり
4要件のうちの(1)・(4)の要件を満たさないことになります。

結果、年調の対象給料は9月分までで、10月分給料は国内源泉所得となり、
原則20%の分離課税で源泉徴収され、課税関係はこれで終了です。

赴任日については、特に留意が必要です。