本日は、名義預金についてお話したいと思います。
相続税の通達に、対価なしで不動産・株式等の名義の変更があったら、
それは贈与行為と判断すると書かれています。
そして、この通達では預金の名義変更に触れていないので、預金については
名義変更をしても贈与税の課税対象にならないとの見解が流布しています。
しかし、名義預金に対しても贈与税課税されるというのが原則です。
子供名義の預金通帳を作り、預金通帳や印鑑の管理、そして預金の引き出しや預け入れは
親自身が行っているなどという時、一般にこの預金は名義預金(すなわち、
子供の名前を使った親自身の預金)だと言われることが多いかと思います。
民法上贈与は契約なので、贈与者が贈与の意思を持っているだけでは契約は成立せず、
受贈者による受贈の意思も必要です。
したがって、名義預金とは贈与の契約が未成立状態で、所有権変動の起きていない財産と
法律解説的説明が一般にされています。
一昨年の4月から始まった1,500万円非課税の教育資金一括贈与のために、子供名義の預金を
子供自身の了解なしに設定しても、おそらく通帳も印鑑管理もお金の出し入れも
親自身がするはずなのに、名義預金とは言われません。
親は未成年の子の親権者で法定代理人ですから、親から子への贈与において、
親は贈与者であるとともに受贈者である子の代理人として贈与契約の当事者になるので、
贈与契約は有効に成立します。
祖父母が孫に預金の贈与をして、孫の親にその預金を委ねる場合も有効です。
親権者たる親が贈与の意思を持って子のために預金をする行為は、有効な贈与契約による
行為なので、ここから名義預金が生ずることは原理的にあり得ません。
名義変更の捕捉が困難という理由だけで、名義変更時課税ではなく、
捕捉時課税だというのも根拠のない言い分です。
名義預金となるケースは、以下の通りです。
契約当事者になれる20歳以上の子に対する預金の無断の贈与は、有効な贈与になりません。
20歳未満の時に設定した預金でも、20歳以後に預け入れた部分も同じです。
配偶者に対するものも同じです。これらの場合には、名義預金になり得ます。