ブラック企業とその対策

ここ数年、新卒採用の時期になると「ブラック企業」に関することが報道されます。

ブラック企業とは明確な定義があるわけでなく、厚労省よると「若者の使い捨てが疑われる」
「離職率が極端に高い」「過重労働があり、労基法違反の疑いがある」という企業であり、
ブラックとは表現されていません。

具体的には次のような行動を指します。

①嫌がらせ・いじめや些細な問題で懲戒処分を行う等、
 退職したくなるように追い込み退職勧奨を行う。

②法定労働時間をはるかに超えて働かせ、法的要件未整備のまま
 管理監督者・裁量労働制・定額残業代等の適用があるとして残業代に反映させない。

③かなりな長時間労働があってもそれを解消しようとせず、働く人の健康を配慮しない。
 時に健康障害を起こす。

④採用手続きにおいて労働条件を明示せず、合理的理由のない内定取り消し、
 実態に合わない偽装請負契約等。

⑤曖昧な理由の解雇、理由を示さない解雇。

⑥労働契約の軽視、内容の一方的変更、年休取得を認めない、健康診断を実施しない等。

前から長時間労働の企業はありましたし、このような企業の数が増えているとも思えません。

いま労働環境の良くない企業が取り上げられる背景には、以前は長期雇用が前提であり、
将来の昇給等で見返りが期待できていたものが、先々のことが描きにくい時代になったこともあります。

このような企業では継続勤務が困難であり、また、
それをインターネット等で知られるようになったとも言えるでしょう。

ハローワークでは、2015年度の大卒・大学院卒予定者に向けた求人票に
過去3年間の採用者数と離職者数の記入欄が設けられ、
離職率を新卒者が見て異常に高ければ応募を見送るであろうと考えているようです。

ただし、記入が任意のため、効果は限定的と思えます。

また、厚労省では一定の労務管理体制が整備され、詳細な採用情報を公表している、
求人をする中小企業に「若者応援企業」と認定し、いわゆる「ホワイト企業」をアピールし、
イメージアップに役立てようとしています。