本日は、簡易課税制度の課税区分の見直しについてお話したいと思います。
「近いうちに変わるのでは・・・」と言われていた簡易課税制度の
不動産業の事業区分の見直しがついに行われました。
不動産業は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から
第5種(みなし仕入率50%)から新設の第6種(40%)が適用されます。
不動産業と金融業の「みなし仕入率」が実態とかけ離れているのではという指摘は、
ここ数年の財務省の調査や平成24年の会計検査院の報告などに上げられていました。
会計検査院(H24)は、決算書から類推した「実態の課税仕入率」と
「みなし仕入率」との乖離をサンプリング調査しています。
金融等 運輸等 サービス 不動産
第4種 第5種
①60% 50% 50% 50%
②33.8% 44.1% 38.9% 32.0%
③90.1% 78.4% 67.6% 76.1%
④47.8% 59.5% 49.3% 42.5%
※①みなし仕入率/②簡易課税適用者の課税仕入率(推計)
③本則課税適用者の課税仕入率/④全体(簡易・本則)の課税仕入率
確かに、不動産・金融業の「みなし仕入率」①と「実態の課税仕入率」②の差は
大きく見えます。
他の統計では、簡易課税の適用割合が高い業種として「不動産業」が挙げられています。
平成21年簡易課税の適用割合(個人・法人計)
消費税申告処理・状況表(国税庁)(%)
①農林水産 72.2 ②不動産 61.6 ③金融保険 49.0 ④飲食店 47.1
⑤サービス 45.7 ⑥建設 40.4 ⑦製造 38.1 ⑧小売 32.2
⑨運輸通信 21.2 ⑩卸売 20.3
現在、みなし仕入率が実態と乖離しているといっても、第5種創設時(平成9年)の
国税庁の実態調査(平成5年)では、不動産業の実態課税仕入は50%近辺の数値を示していました。
この改正で、不動産業の簡易課税の納税額は税率改正も加味すると、
以下のように増えることになります。
売上×5%×(1-50%)=売上×2.5% → 売上×10%×(1-40%)=売上×6%
他のサービス業も乖離が大きいですが、簡易課税適用者は元々スモール・ビジネスです。
上記のように、売上×3.5%(6%-2.5%)の負担増には耐えられません。
その中でも、資産収入を得ている業種が狙われたということなのでしょう。