本日は、特定障害者の贈与税非課税信託についてお話したいと思います。
平成25年の信託の税制改正は、「教育資金贈与信託」の創設に話題が行きがちですが、
もうひとつ「特別障害者の贈与税の非課税信託」の制度拡充が行われました。
「特定障害者の贈与税の非課税信託」という新制度が、
平成25年4月1日以後の信託契約からスタートしています。
もともとの信託税制の概要は、以下の通りです。
障害者の家族が、障害者のために障害者を受益者とする信託を設定しようとすると、
税務上は受益者である障害者に信託受益権の贈与があったものとみなされ、
贈与税が課せられてしまいます。(みなし贈与)
そのため、昭和50年に特別障害者(障害者のうち重度の障害をもつ者)を対象に、
「障害者非課税信託申告書」を信託会社の営業所を通じて税務署に提出した場合には、
その受益権の価額のうち6,000万円までの金額を非課税とする制度ができました。
これが、旧制度の「特別障害者の贈与税の非課税信託」の制度です。
この制度は、親亡き後の障害者のご両親の不安を解消し、
障害者の単身での生活を長期間に支えるものとして期待されていました。
ただし、最近20年間は旧制度の1件当たりの信託の残高は2,200万円~2,300万円台と横ばいで、
件数・残高は下記のとおり減少傾向にありました。
信託協会『特定贈与信託受託状況』(一部)
件数 受益者数 残高
H9 1,553件 1,447人 366億円
H14 1,410件 1,325人 328億円
H19 1,182件 1,097人 268億円
H24 988件 903人 230億円
かねてより「一般障害者が適用範囲外となっていること」がネックであると指摘されており、
信託協会・厚労省などの関係団体が改正要望を出しておりました。
新制度では、特別障害者以外にも一定の一般障害者が対象となり、
制度名も「特定障害者の贈与税の非課税信託」に改められ、
一般障害者の非課税枠3,000万円が追加されました。
追加となる一般障害者は、知的障害(中度・軽度)の方、精神障害(2又は3級)の方、
精神または身体障害の65歳以上の方(市町村長の認定者)となります。