本日は、金地金の譲渡所得の調査状況についてお話したいと思います。
平成25年10月に国税庁より「平成24事務年度(平成24年7月~平成25年6月)における
所得税及び消費税調査等の状況について」が公表されています。
個人課税の分野においては、近年の傾向どおり、いわゆる富裕者層について、
資産の運用化・多様化に対応した調査を実施しているとコメントしています。
この中で「金地金」についての税務調査等の状況が報告されています。
「金地金」は、インゴットやバーとも呼ばれる金の地金(塊)です。
昨年(平成25年)の4月に入って急落しましたが、1月には国内小売価格は32年ぶりの高値
(1月18日・田中貴金属・1g5,145円(込))をつけるなど、ここ数年は
高水準で推移していたため、譲渡益が出やすい状況であったようです。
これに対し、国税庁は平成24年1月から対価200万円超を支払う場合に、
「金地金等の譲渡の対価の支払調書」の提出を求めるなどの情報収集を強化していました。
この報告によれば、平成24年事務年度で申告漏れの非違件数は1,813件、
申告漏れ所得は107億円、また非違1件あたりの申告漏れ所得金額は593万円であったそうです。
<金地金に係る譲渡所得の調査状況(国税庁)>
事務年度 H22 H23 H24
申告漏れ 962件 1,309件 1,813件
申告漏れ所得 61億 79億 107億
1件当たり 630万 604万 593万
給与所得者などが所持する金地金を売却した場合の所得は、原則として
譲渡所得(総合短期・総合長期)として課税されます。
ただし、営利目的の場合には譲渡所得とはならず、事業所得又は雑所得となります。
<短期総合譲渡・所有期間5年以内>
①売却金額-(取得費+売却費用)=譲渡益
②譲渡益-50万円=課税所得
<長期総合譲渡・所有期間5年超>
短期の②の金額に「×1/2」を乗じます。
なお、金投資口座や金貯蓄口座の利益は、金地金現物の譲渡とは異なり、金融取引に近いため、
20.315%(所得税・復興税15.315%・地方税5%)による源泉分離課税となります。
この場合、源泉徴収だけで課税が終了しますので、他の所得と合算して
申告をすることはできません。