本日は、人事賃金制度の問題発見についてお話したいと思います。
人事制度の設計と運用は、従業員の意識・行動を経営のあるべき姿へ向けて誘導し、
戦略を実現する重要な仕組みです。
その問題点・改革の課題は、それぞれの企業によって異なりますから、
的確に発見して対策を講じなければなりません。
そこで、「人事賃金制度のどこに問題があるのか」判断する視点を持つ必要があります。
現在の制度の問題点・課題を的確に発見するには、下記に示した制度の体系を俯瞰的に見て、
個別制度のどこに問題があるのか、個別制度間の関係や全体のバランスから
改善・改革の課題を具体的に特定すると良いでしょう。
業績管理制度 → 賃金制度
(目標管理・評価制度) (給与制度・賞与制度)
↓ 社内等級制度 ↑
(処遇の基軸)
人材育成制度 → 組織構築・人材配置
すなわち、次のような視点で問題発見を行なうことをお勧めします。
【問題発見の視点】
①社内等級制度そのものの問題
(年功的制度であるため、実力に応じた処遇の基軸としての機能を発揮していないなど)
②社内等級制度と賃金制度の関係における問題
(等級と賃金が逆転しているため、社員の間に不公平感があるなど)
③賃金制度そのものの問題
(役割や貢献度に応じた賃金になっていないなど)
④業績管理制度そのものの問題
(業績管理がうまくいっていないなど)
⑤業績管理と賃金制度の関係における問題
(業績評価がメリハリのある賃金支給につながっていないなど)
⑥人材育成の遅れ問題
(組織構築・人材配置のニーズを満たしていないなど)
上層部だけの議論で問題発見を行なうのではなく、管理者・一般社員からも
普段から感じている問題を出してもらい、改善・改革に結び付けると、
全員の経営参加意識・やる気の向上につながるでしょう。