相続税の基礎控除引き下げによる都市部での影響

本日は、相続税の基礎控除引き下げによる都市部での影響についてお話したいと思います。

平成27年から相続税の基礎控除が引き下げられることになりましたが、
その改正理由は相続税の課税割合が4.2%では低すぎるということでした。

ここ30年くらいの期間において、最高だったのは昭和62年の7.9%でした。

基礎控除の引き下げ水準は、課税割合6%の頃を照準としているようです。

次の基礎控除の引き下げで、課税割合は8%に達するのではないかとの見方もあります。

直近公表の平成23年分相続税課税割合統計値を見ると、全国平均は4.1%で、
各国税局では札幌1.8%・仙台1.6%・関信越3.8%・金沢3.2%・名古屋5.9%・大阪4.5%
・広島3.1%・高松3.0%・沖縄3.1%(福岡・熊本国税局は公表なし)であるのに対し、
東京国税局は6.9%で頭一つ抜き出ています。

全国平均は、死亡者数1,253,066人・申告数51,409件を表現したもので、うち東京国税局は、
死亡者数237,716人(全国比19.0%)・申告数16,317件(全国比31.7%)です。

東京国税局管轄分についての相続税の課税価格は、39,910億円(全国比37.2%)
・相続税額は5,772億円(全国比46.1%)です。

東京国税局管内の死亡者は全国の約2割・相続税申告数の約3分の1・相続財産の4割弱
・相続税額の半分近くを占め、人と富が集中していることを示しています。

東京国税局の管轄は、東京都と神奈川県・千葉県・山梨県で、東京都を23区内と23区外に
分けてみると、申告件数・相続税の課税価格・相続税額の比較は、次の通りです。

     申告数 課税価格 相続税額

23区内  41.65% 44.29%  48.96%
23区外  15.06% 15.89%  15.31%
神奈川  28.64% 27.14%  25.62%
千葉   12.82% 11.43%   9.46%
山梨   1.83%  1.24%   0.65%

東京国税局の徴収する相続税の約半分が23区内となっています。

全国平均課税割合が8%にでもなったら、都市部の納税者数は3倍くらいに膨れそうです。

千代田区22.61%・渋谷区19.37%・港区19.63%と、東京23区内の課税割合の
著しく高い地域では、申告しない方が少数派になりそうです。