本日は、何のために働くのかについてお話したいと思います。
K社長が、従業員35名の後輩同業者のT社長と新年会で会ったところ
「ちょっとご相談が・・・」と声を掛けられた時のお話です。
「おかげさまで順調に業績は伸ばしてきましたが、ちょっと・・・」
「どうしましたか?」
「いや、本当に参りました」
沈んだ顔で話す内容は、二人の幹部が相次いで辞めたいと言い出したとのことです。
T社はリーマン・ショック後に業績が急速に悪化し、2期連続して赤字決算となりました。
しかし、社長が営業から制作までの改革に乗り出して、業績の回復ができたとのことです。
その時、この二人の幹部が社長の方向に沿って、従業員を引っ張ったことが力となって、
会社が持ち直したようです。
改革に伴う色々な痛みへの従業員からの反発には、
この二人が丁寧に話を聞いて解決していました。
「なぜ辞めたいのか、わかりません」
「社内の地位はどうしました?」「部長職に上げました」
「処遇はどうですか?」「年収は大幅に引き上げました」
「権限はどうしましたか?」「担当分野の権限は委譲しています」
そこですこし考えてから、「貴社には経営理念はありますか?」と尋ねると・・・
「えっ、経営理念?それは何ですか??」
T社長は、改めて今まで「利益を上げることを第一に」突っ走ってきたことを振り返りました。
会社は利益がなければ存続しません。
しかし、連続赤字などの緊急事態が収まると、幹部や従業員は利益だけを目指して働くことに
「何か足りないな」という疑問が頭の中から持ち上がります。
そして、「このままで自分の将来はどうなるのか?」に関心を持つようになります。
「何のために働いているか」という経営目的、「自社の固有の役割は何か」という
会社の存在価値を明確にすることは、会社にとっても従業員にとっても必要なものなのです。