本日は、株式譲渡課税の変遷についてお話したいと思います。
株式譲渡益に対する課税は、昭和28年から平成元年までは、一定の要件
(回数・株数・事業類似)を満たす売買を除いて、原則、非課税でした。
理由は、株式投資を促し、国民のお金を企業に資本供給するのが狙いであったようです。
課税のきっかけは、平成元年の消費税の導入です。
資産家優遇との批判を受けてのことです。
課税方式は、申告分離課税(税率26%)と源泉分離課税(売買代金の1.05%)2択式でした。
その後、株式市場の低迷で市場のテコ入れの必要が迫られ、
「貯蓄から投資」へのキャッチフレーズのもと、以下のようになっていきました。
平成15年には、課税方式は申告分離課税のみ、税率も10%(所得税7%、住民税3%)に軽減。
平成21年分の確定申告から、上場株式等の損失と配当所得の損益通算が可能となりました。
そして、現在に至っています。
幾度なく延長を繰り返されてきた軽減税率10%は、平成25年12月31日末をもって失効します。
平成26年からの譲渡益には、本則の税率20%(所得税15%・住民税5%)が適用されます。
自民党政権になって、低迷していた株式市場も好転し、
若干の乱高下はあるものの全般的に上げ相場です。
手持ちの株式にも含み益がでてきましたが、来年になって売却すると、
税金は今年に売却した場合の2倍になります。
今年中に売却して、1度利益を確定させることも選択肢としてあります。
「貯蓄から投資へ」のメッセージに乗って上場株を購入し・株式に含み損を抱えている人、
また、譲渡益と相殺できる控除可能な繰越損失を有している人は、値上がり益を狙って
持ち続けるのも方策です。
また、含み損や繰越損失を抱えている非上場株式のオーナーの場合には、
自社株を事業承継者等に売却して、その譲渡益と上場株の損失と通算することで
譲渡益に係る税負担(20.42%)が軽減できます。
なお、平成25年度税制改正では、上場株式等の譲渡損益と非上場株式の譲渡損益との
損益通算ができなくなっています。
上場株式の譲渡損失は、繰越控除できる期間は翌年以後の3年間ですが、
海外では「期限なし」が主流です。
この期間を少なくとも、10年に延長してほしいですね。