解雇予告手当と和解金

本日は、解雇予告手当と和解金についてお話したいと思います。

使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくとも30日前に予告をしなければならない
という労働基準法20条の規定があります。

30日前の予告をしない場合は、30日に不足する平均賃金を支払わなければなりません。
(10日前に予告した場合は、20日分以上の平均賃金を支払います)

この場合に支払われる賃金が、解雇予告手当です。

解雇予告手当は、下記の昭和23年8月18日付の基収第2520号からわかるように、
賃金ではないので、社会保険料や労働保険料の対象にはならないとされてきました。

「解雇予告手当は労働の対償となる賃金ではないから、必ずしも通貨支払・直接支払などの
 要件を具備しなくても差し支えないものと解されるが、労働者の予測しない収入の中絶を
 保護するものであるから、賃金に順ずるものとして通貨で直接支払うよう指導されたい」

また、所得税法においては、解雇すなわち退職を原因として一時に支払われるものである
ところから、賃金(給与所得)ではなく、退職所得に該当することとされています。

解雇が使用者側と労働者側でもめて裁判になった場合に、
双方が合意に達して支払われるのが「和解金」です。

和解金に関しては、その和解内容によって取り扱いが異なります。

■賃金となる場合

退職時点が使用者側の主張より遅く、それまでの給与相当額で和解した場合や、
残業代の未払い分として和解した場合は、賃金となります。

なので、その分については社会保険料も源泉税もかかってきます。

■退職金となる場合

退職時点は使用者側の主張が認められるが、解雇予告手当等として
一時金を支払うことで和解した場合は、退職金となります。

なので、退職所得として課税されます。

■非課税となる場合

退職による精神的苦痛に対する慰謝料として支払われた場合は、全く税金はかかってきません。

和解金の場合は、その内容によって取り扱いが異なります。

ご留意ください。