組織再編での課税売上割合

本日は、組織再編での課税売上割合についてお話したいと思います。

組織再編のうち、合併・分割による資産・負債の異動は、包括承継として
適格・非適格を問わず消費税上の資産の譲渡に含まれません。

しかし株式交換・移転では、完全子法人の旧株主にとっては、適格・非適格を問わず
完全子法人株式の譲渡とされます。

有価証券の譲渡は、消費税上5%非課税売上と扱われます。

完全支配関係下での組織再編では、課税売上割合に大きな影響が出ることがあります。

債権者が債務者に金銭債権を現物出資することは、金銭債権の譲渡に該当し、
債務者にとって消費税上非課税売上に該当します。

これは、いわゆる「デット・エクイティ・スワップ」といわれるものです。

非課税売上となる額は5%ではなく、金銭債権の額そのものであるものの、
金銭債権の価額は額面ではなく時価評価額です。

大きく債務超過していない会社の場合には、課税売上割合に大きな影響があります。

資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡については、消費税上課税対象外取引です。

具体的には、売掛債権・受取手形・受取小切手などです。

これらを現金預金として回収する前に第三者へ譲渡する場合には、
金銭債権の譲渡ではありますが、これを譲渡とすると課税売上と非課税売上の
二重計上となってしまいます。

それを手形割引などを常態にしている場合、課税売上割合が常に50%になってしまう
という不合理が生じます。

それへの対処のための措置です。

合併や分割が行われた場合、被合併法人等の売掛債権は合併法人に承継されますが、
合併法人等にとっては、自らの営業活動による資産の譲渡等の対価としての
金銭債権ではありません。

その場合には、特に手当がなされているわけではないので、承継した手形の割引・
ほかの売掛債権の譲渡は、非課税売上となってしまいそうです。

組織再編には落とし穴が多いので、課税売上5億円超法人はもちろん、95%ルールを存続する
課税売上5億円以下法人でも、非課税売上の発生にウッカリ気付かずにやりすごすと、
消費税計算に思わぬ落とし穴に落ちることになりそうです。