本日は、厚生年金基金廃止の方向についてお話したいと思います。
厚生年金基金は、厚生年金に独自の企業年金を上乗せし、公的年金の一部(代行部分)を
一体的に運用・給付する企業年金です。
しかし、AIJ投資顧問会社の運用失敗による年金消失問題を受け、
厚労省は厚生年金基金制度を廃止する方向で検討に入っています。
厚生年金基金は、長期的な運用利回りの低迷で財政が悪化し続けていて、
厚年基金の約半数で国から預かって運用する代行部分が積み立て不足になっています。
積み立て不足は、基金に加入する企業が穴埋めするのが原則ですが、
財政悪化が深刻な基金は穴埋めの目途が立ちません。
高度経済成長期を背景に創設された厚生年金基金は、厚生年金にプラスした企業年金制度として
福利厚生制度に寄与してきましたが、運用利回りの悪化で運営は行き詰っています。
全国で1800超あった基金は、代行部分の返上で、2012年3月末には595基金まで減っています。
ただ、今でも半数の企業では、代行部分の損失は発生していません。
実際に基金を廃止するとなると、課題は数々あります。
最終的に代行部分の損失の穴埋めをどうするのか?
本体の厚生年金保険料で賄うのは、全体の保険料を一部の基金に使う
不公正さが問題となります。
と言っても、今のように加入企業が穴埋めしないと解散出来ないという状況では
到底穴埋めできる状況になく、今後返済を強制的に負う制度は廃止の方向です。
また制度廃止が決まれば、企業年金部分はなくなってしまうため、
廃止を反対する意見も根強くあります。
今後の制度廃止案は、基金の解散がしやすくなる対策が盛り込まれます。
積み立て不足を強制的に負わなくとも解散できるようにして、
他の年金制度に移行出来るようにします。
積み立て不足のない健全な基金は、加入者自らが運用する確定拠出企業年金か、
将来の受取額が決まっている確定給付企業年金に移行してもらう方針です。
解散は現在、財政難の286基金においては損失がこれ以上拡大するのを防ぐため、
早期解散が促されるものと見込まれます。
また、OBの基金年金減額の基準は、現在OBの3分の2の同意が必要ですが、
見直されることになりそうです。