本日は、EPC契約・フルターンキー契約についてお話したいと思います。
最近、太陽光発電のビジネスが活発に動いています。
その中でも巨大プロジェクトであるメガソーラー建設は、
EPC契約で締結されることが多いそうです。
EPCはそれぞれ、Engineering(設計)・Procurement(調達)・Construction(建設)の
頭文字で、古くはフルターンキー契約とも称されていたものでした。
主に大型機械の販売やプラント輸出の場面で用いられ、単なる機械装置を販売するだけ
ではなく、据付工事まで一貫して行ない、スイッチ・オンすれば直ちに稼働できる状態で
相手方に引き渡す内容の契約(設備一括請負契約)です。
この場合、以下の①②で収益計上時期が変わってくることになります。
①機械装置等本体の販売をその据付工事と一体不可分として処理するか
②機械装置の販売と据付工事を別個のものとしてみるか
法人税基本通達では、たとえ1つの契約であっても以下の時は、
機械装置を棚卸資産の収益計上基準である引渡基準(出荷基準~検収基準~使用収益基準)
で計上し、据付工事を完成基準で計上することができるとされています。
法人がこの取扱いによらない場合には、全体を棚卸資産として
販売基準で収益の認識をすることになります。
①その据付工事が相当規模であること
②その据付工事に係る部分の対価の額が契約・見積書で合理的に区分できる
また、工事進行基準の適用がある場合には、全体の収益を区分するという考え方には
馴染まないため、適用除外となっています。
この区分経理ができれば、期末のタイミングで機械本体は出荷基準で当期計上し、
据付工事は完成基準で翌期計上するという場面もあるように思えますが、
実際はどうでしょうか?
大型機械やプラントの場合、棚卸資産の引渡基準で考えても試運転後に検収
ということが多いので、結局区分をしようがしまいが、据付工事後の検収のタイミングで
収益認識せざるを得ない形にないように思えます。
太陽光発電設備の入札条件等をみると、実際にパネルとパワーコンディショナーを設置し、
所定の電力を発電できたことをもって検収とする例も散見されます。