本日は、エンジェル株式についてお話したいと思います。
エンジェル株式への投資額には、寄付金控除の対象となるものがあります。
投資額のうち1,000万円が限度です。
寄付金控除なので、合計所得の40%までの頭打ちと2,000円の足切りがあります。
なお、適用を受けて寄付金控除とした金額は、
そのエンジェル株式の取得価額から控除されます。
売却時に損がなかった場合の株式譲渡益課税は、20%もしくは10%です。
なので、税率の高い高所得者にとっては、リスクヘッジのみならず節税策としても有効です。
エンジェル株式については、投資年においてそのエンジェル投資額の全額を、
他の株式譲渡益から控除できることになっています。
また、エンジェル株式を実際に売却して譲渡損失が発生した場合も、
他の株式の譲渡益から控除できます。
さらに、控除しきれない譲渡損については、3年間の繰越控除ができることになっています。
エンジェル株式について、投資先の事業の不成功により倒産等の事態に陥り、
価値喪失株式になった時は、下記のような取扱いができることになっています。
・価値喪失株式化による損失を株式の譲渡損失とみなして、他の株式の譲渡益から控除できる
・控除しきれないみなし譲渡損については、3年間の繰越控除ができる。
今年の税制改正では、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等に係る譲渡所得等とは
別々の分離課税制度になり、次のように改組されました。
①特定公社債等及び上場株式等に係る利子等・配当等・譲渡所得等の分離課税
②一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税
この①と②との垣根を越えた損益通算はできないこととなりました。
ところが、エンジェル株式は原理的には②に属するものながら、
エンジェル株式に係る取得価額及び譲渡損失の控除については、
①と②の垣根を越えて損益通算・繰越控除ができます。
極めて例外的です。
ただし、①との通算といっても利子等・配当等の通算まではできません。
また、エンジェル株式のみなし譲渡損は②の内部での通算のみ可能で、
①との通算は不可です。