直観と先入観

本日は、直観と先入観についてお話したいと思います。

直観とは、平易に言えば、以下のようになります。

「人が経験を積み重ねて熟知している特定の分野で、何かの課題や問題に出会った時、
 その重要性・解決法や結果としてのあるべき姿を瞬時に思いつくこと」

いちいち現状分析や原因追求をしたり・論理的な思考をせずに、素早く答えが得られるので、
大変重要で、私達の仕事や人生で大きな価値を持っていると言えましょう。

企業活動では、資材購買、生産、営業、品質管理、人事制度の運用、経営企画・管理業務など
多様な仕事があり、それぞれの分野で次々と問題・課題が生じており、
直観によって即座に答えが得られるのは大層有用であると言えます。

そこで、仕事の各分野に研ぎ澄まされた直観力を持つ人材が多いほど、
企業の生産性は高まります。

直観が働く人材が各分野に多いほど、経営上の問題解決が早まりますから、
それは人材育成の重要な目的・目標になります。

しかし、直観力は多くの場合、仕事上で基礎的な知識・技術を学び、さまざまな問題に
遭遇して、原因分析・判断・解決策の論理的思考・仮説の検証・問題解決を繰り返すなかで
磨かれるものです。

ですから、いきなり新入社員に要求できるわけではなく、一般的には
早くとも30歳前後まではトレーニング過程にあると言えましょう。

そこで、直観力をもつ人材育成を目的・目標に掲げ、意識的に手順を追った
問題解決の経験を重ねさせながら、直観的問題解決にチャレンジさせることも、
企業の人材育成・知的生産性向上・競争力向上に役立ちます。

特定の人物や物事に対するネガティブな認識や評価の基になる「不十分な知識」
「不確実な認識」を「先入観」と言い、世の中に無用な混乱を引き起こす原因となります。

特に、経営者・管理者が特定の従業員に対して「先入観」をもつことは起こりがちで、
しかも自分の直観と混同しがちです。

そこで、人の上に立つ者として「不確実なことは自ら一度は疑って見る」
「事実かどうか確かめる」ことによって、「先入観」を避ける謙虚な習慣を持つべきです。