本日は、会社事務所の移転時についてお話したいと思います。
「事務所が手狭になった」「賃貸契約が切れた」等で事務所を移転をする際に、
さまざまな経理処理が発生します。
旧事務所・新事務所と区別して見ていきましょう。
■旧事務所の保証金・原状回復費用・廃棄
引っ越す際に「原状回復費用」を負担することになりますが、
これは修繕費として計上します。
通常は、契約時に支払った「敷金・保証金」(以下「保証金等」)と相殺されて、
原状回復後に残金があれば返金となります。
しかしこの際は、預けた「保証金等」と返金された残金との差額が修繕費となります。
「礼金または権利金」(以下「礼金等」)については、契約期間で均等償却をしていますが、
帳簿上に残額があれば全額費用処理できます。
旧事務所から新事務所に持って行かない固定資産は、廃棄処分となるでしょうが、
この際には固定資産除却損として経理処理できます。
あとの税務調査のために、廃棄証明書等を発行してもらいましょう。
■新事務所の保証金・引越費用・改装費
新しい事務所の「保証金等」は、資産として費用にはなりません。
しかし、一部返還されない部分がある場合には、礼金等として契約期間で均等償却を行います。
ただし20万円未満の「保証金等」については、一括で費用とすることが可能です。
引越費用は、「社会通念上妥当な金額」であれば費用にできます。
同じく、不動産屋に支払う仲介手数料についても全額費用にできます。
新事務所における内装工事やパーテーション工事は、修繕費ではなく資産計上とします。
ただし、資本金1億円以下の青色申告中小企業者等については、1個または1組の価格が
30万円未満の固定資産については、年額300万円までは少額減価償却資産として費用とできます。
なお、事務所移転の変更登記だけでなく、税務署・都道府県や市区町村への届出もお忘れなく。
申告書や年末調整などの書類を受け取るためにも、忘れずに届出をしておきましょう。