外貨建取引と為替差損益

本日は、外貨建取引と為替差損益についてお話したいと思います。

外貨建て取引においては、取引のつど為替換算を行ない、為替差損益の認識をします。

所得税法で「外貨建取引」とは、外国通貨で支払いが行われる資産の販売及び購入、
役務の提供、金銭の貸付及び借入れ、その他の取引をいいます。

居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引を行った時における外貨建為替の
売買相場により換算した金額により、各種所得の金額を計算するものとされています。

とはいえ、A銀行に預け入れていた外貨建て定期預金が満期となったため、
満期日に全額を払い出し、同日に元本部分全額をB銀行に預け入れた場合、
他の金融機関に預け入れる場合であるとしても、同一の外国通貨で行われる限り、
為替差損益を認識する必要はありません。

公社債の償還差益とは、償還金額がその発行価額を越える場合のその差額をいい、
雑所得として取り扱います。

購入した金額と同額で償還され、償還差益が発生しない場合には、
単に債券購入時の円換算額と償還時の円換算額の評価差額があっただけとなります。

なので、同一の外国通貨である限り経済的価値が実現しているとは認められないので、
為替差損益を所得として認識する必要はありません。

ただし、異なる通貨となると原則的になります。

日本円の現金を米ドルに交換し、その後、この米ドル全額をユーロに交換した場合、
ユーロへの交換時にユーロへの交換時の円換算額と当初円から米ドルへ交換した金額との
差額を為替差損益として認識します。

外貨建預貯金を払い出して、外貨建MMF(マネー・マーケット・ファンドの略/
投資信託の一種)に投資した場合には、それまでは評価差額にすぎなかった
為替差損益に相当するものが、収入すべき金額として実現したものと考えられます。

そのため、「外貨建MMFの投資金額の円換算額」と「その投資に充てた外国通貨を
取得した時の為替レートにより円換算した金額」との差額(為替差損益)を
所得として認識する必要があります。