本日は、課税売上割合の分母の額についてお話したいと思います。
消費税の申告及び納付において、課税売上割合の計算は重要です。
課税売上割合は、分母の額は「その課税期間中の国内における資産の譲渡等の対価の額」、
そして、分子の額は「その課税期間中の国内における課税資産の譲渡等の対価の額」です。
なお、割合計算において留意すべき点は、以下の通りです。
①分母及び分子の対価の額から「対価の返還等の金額」を控除する
②税抜きで計算する
③貸倒れ分は控除しない
④輸出免税は課税資産の譲渡等に含む など
資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに
役務の提供をいいます。
一方、課税資産の譲渡等は、資産の譲渡等のうち、法令に基づいて消費税を
課さないこととされるもの(非課税資産の譲渡等)以外のものをいいます。
結果、分母の資産の譲渡等の対価の額は、「課税資産の譲渡等の対価の額」と
消費税が課されない「非課税資産の譲渡等の対価の額」の合計額です。
なお、資産の譲渡等の対価に該当しない受取配当金・損害賠償金・受取保険金・還付加算金
・補助金等は、いずれも分母・分子の金額には含まれません。
すべての非課税資産の譲渡等の対価の額が、単純に分母に算入されるのかというと、
そうではありません。
非課税資産の内容等によって、その対価の額について調整がなされています。
主なものは次の通りです。
(1)対価の額の全額が除外されるもの
①本来対価を得るために引渡す通貨などの支払手段の譲渡(手形の割引等も含む)
②売掛金など資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡 など
(2)対価の一定金額が算入されるもの
①貸付金その他の金銭債権を譲受けについてはその対価である利子
②有価証券等の譲渡の対価についてはその対価の5%相当額 など
この理由ですが、課税売上割合の算定目的からみて分母算入が適当でない内容や対価があり、
事業者が不利にならないようにするための配慮であると言われています。
なお、合名・合資会社または合同会社の社員の持分・協同組合等の組合員等の持分・貸付金
・預金・金銭債権の譲渡(資産の譲渡等の対価として取得したものを除く)である場合は、
その譲渡対価の全額を分母に含めることになります。