本日は、居抜き物件と許認可についてお話したいと思います。
居抜き物件とは、店舗内の内装・備品が残っている状態で売買・賃貸できる物件です。
旧テナントの設備や什器備品などをそのまま利用できるため、この居抜き物件をターゲットに
店舗拡大を図る企業も多く見受けられます。
設備投資が必要な業態にとっては、低コストでの開業が見込まれるため、
初めて起業される方からも人気の物件です。
居抜きの場合、コスト面は特に魅力的な点ですが、業態によっては
以前のお店の顧客も取り込める可能性があるといった集客面もあります。
また、旧テナントが同業種であれば、改装がほとんど不要のため
開店準備期間を短くできるなどのメリットもあります。
しかし、居抜き物件だからといって必ずしも安心が保障されているとは限りません。
特に、飲食店や美容院など許認可の取得が営業条件となる業種では、旧テナントが問題なく
営業をしていた実績から、許認可の取得までスムーズに運ぶだろうと考えがちですが、
思わぬところで落とし穴にはまってしまうこともあります。
許認可は、人・場所・財産すべての要件を満たすことで初めて成り立ちます。
店舗と業態が変わらずとも、営業主体、つまりオーナーである企業や個人が変われば
許認可を再取得しなくてはなりません。
居抜き店舗で再取得を行なう際、問題となりやすいのが
改装により設備要件を欠いてしまっているケースです。
前記の通り、許認可は人・場所・財産で構成されますので、
求められている財産(設備)が欠けると許可要件を満たすことができません。
たとえば飲食店を例に挙げると、設備要件として手洗場所の設置が求められていますが、
旧テナントが改装によりこれを外してしまっていたなど、知らないうちに
許可要件に関わる重要部分を欠いてしまうことも十分にあり得ます。
また、風俗営業など行政側による法律の解釈が度々発表される業種については、
旧テナント時代の解釈と変更されている可能性や、
審査担当官により判断の違いが生じる場合もあります。
たとえ同業種の居抜き物件であっても、まったく新規の許認可を取得する時と同様の
意識と対応が必要です。