特定新規設立法人の事業者免税点制度の不適用制度

本日は、特定新規設立法人の事業者免税点制度の不適用制度についてお話したいと思います。

消費税の納税義務は、原則として、基準期間における課税売上高が
1,000万円を超えるかにより判定することとされています。

この基準期間とは、個人では前々年・法人では前々事業年度を指します。

なぜ、2年前の数値で判断するのでしょうか?

それは、消費税を財貨やサービスの価格に含めて転嫁させるという税の性質から、
「自分が納税義務者であるのか」は、その財貨やサービスを売る前に
判断できなくてはならないからです。

もし基準期間を前年とすれば、例えば12月31日にその年の業務が終了し、
即日でその年の課税売上高の計算を行ない、翌1月1日から販売する物品についての
納税義務の判断をしなければなりません。

1年間隔を置いて2年前とされているのは、そのためです。

このような制度の下では、基準期間がない開業1・2期の事業者が多額の課税売上高を
有していても、消費税の免税事業者とされてしまうことが問題視されていました。

そこで、設立当初から大規模なビジネス環境にあると推定される法人を
課税事業者とする措置がとられました。

すなわち、その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における
資本金の額が1,000万円未満の法人(新規設立法人)のうち、次のいずれにも該当するもの
(特定新規設立法人)は、設立の1期・2期について納税義務を免除しないこととされました。

これを特定新規設立法人の事業者免税点制度の不適用制度といいます。

①その新規設立法人の基準期間のない課税期間の開始の日において、他の者により
 発行済株式または議決権割合等を50%超保有されていること。(特定要件)

②①の50%超保有者または特殊関係法人の基準期間相当期間における課税売上高が
 5億を超えること。

この制度は、平成26年4月1日以後に設立される特定新規設立法人から適用されます。

また、①の特定要件については、次のようなケースでも要件を充足することになるため
注意が必要です。

個人(甲) ← (親族) →  個人(乙)
※生計一親族
 ↓50%超    ↓100%

特定新設法人         特殊関係法人
               (課税売上5億超)

この辺りの判定は、法人のグループ税制の判定と似ています。