法人税の青色欠損金の繰越控除と申告要件

本日は、法人税の青色欠損金の繰越控除と申告要件についてお話したいと思います。

青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金(以下「青色欠損金」)の繰越は、
平成23年12月の税制改正において、「前7年以内に開始した事業年度」から
「前9年以内に開始した事業年度」に改正されました。

この改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた
欠損金について適用されます。

また、中小法人等以外の法人にあっては、繰越控除できるのは、
各事業年度の所得の金額の80%に相当する金額が限度とされました。

青色欠損金額の繰越控除、すなわち、青色欠損金額をその後の事業年度において
損金の額に算入するためには、青色申告書を提出した事業年度からその事業年度まで
連続して確定申告書を提出していることが要件となっています。

この「連続して」という意味は、青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る
確定申告書の提出時において、「青色欠損金の生じた事業年度以後の各事業年度」について
確定申告書が提出済であることと解されています。

つまり、無申告の事業年度がないことが前提とされています。

たとえば、青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る確定申告書を
提出した後に、当期前の各事業年度で無申告であった事業年度に係る確定申告書を
提出した場合はどうなるでしょうか?

前述の「連続して」の意味から、この場合は青色欠損金の生じた事業年度から
当期まで連続して確定申告書を提出していることになりません。

なので、青色欠損金を損金の額に算入することはできないということになります。

各事業年度の確定申告書の提出期限ですが、条文上、期限内申告を要件としていません。

ですので、期限後申告であっても青色欠損金を損金の額に算入しようとする事業年度に係る
確定申告書を提出する前までに確定申告書を提出すればよいことになります。

もっとも期限後申告が2事業年度連続して続くと、「青色申告の承認の取消し」要件に該当し、
その後の事業年度の申告書は白色申告書になります。

しかし、それでも青色欠損金の繰越控除の適用は可能です。

なお、欠損金額の生じた事業年度に係る一定の帳簿書類の保存も要件です。