本日は、厚生年金基金制度の見直しについてお話したいと思います。
昨年は、AIJ投資顧問会社の運用損による年金消失問題が話題になりました。
しかし、厚年基金は長期的に運用利回りの低迷で、財政は悪化し続けていました。
今年は新政権で利回りは少し回復しそうですが、基金の財政悪化が回復するのは
難しい状況です。
厚労省の試算では、2年後に代行割れに陥るリスクがない基金は、
全国約570の厚年基金のうち49しかなく、1割にも満たない状態です。
厚生年金基金の代行制度とは、本来国が行なう厚生年金の運用や給付の一部を
厚年基金が代行することです。
運用成績が悪く、国から預かる厚生年金保険料の損失を出している状態を代行割れと言います。
現在、577基金のうち287基金が代行割れとなっています。
代行部分の損失を穴埋めしないと基金の解散が出来ないため、
厚労省は解散しやすい方向を検討しているところです。
今後ほとんどの基金は、解散か他の企業年金制度への移行を迫られるでしょう。
厚生労働省の社会保険審議会では、この度、廃止が妥当との意見書をまとめました。
代行割れで財政悪化の基金は、5年以内に解散。
代行割れはしていない基金は、10年の期間に他の企業年金への移行を後押しします。
一方で、基金を一律に廃止することに反対意見もあり、
財政が健全な基金は残すべきと言う意見もあります。
ただ、一部基金だけを残すことが出来るのでしょうか?
昨年11月に出された厚労省試案に対し、審議会の意見書では
10年で制度廃止はするが、加入企業が損失を連帯責任負担する制度は止める方針です。
国に返済をする期間の延長も求めて行く方針です。
しかし、解散を促すため、返済額を減額し・公的資金で穴埋めする厚労省案には、
公平性の観点から反対をしました。
ただ母体企業が倒産で返済しきれない場合は、
厚生年金保険料での穴埋めもやむなしとしています。
退職金は、企業で社内制度として規定があれば、賃金としての性格になります。
厚年基金の加算部分が、退職金額の内枠となっているのか外枠かで、額は大きくが違います。
規定を確認してみるのが良いでしょう。